看取りケアとは

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日常生活のケアが中心

看取りケアは、医師から「余命が数週間から数ヶ月」と診断された場合に、ご本人やご家族の希望により行なわれます。

具体的には…

  • 身体的・精神的苦痛をできる限り緩和・軽減する
  • 人としての尊厳はそのままに
  • 穏やかな日常の生活を支援する
  • 最期まで寄り添う

「看取り介護」とも呼ばれます。

看取りケアは、医師の指示に従って苦痛を和らげながら自分らしく穏やかな最期を迎えることを支援するもので、食事や排泄介助など「日常生活のケア」が中心となります。
そのため、主に在宅や介護施設で行なわれます。



看取りケアの背景


時代の変化とともに自宅で最期を迎える人は減り、多くの人が病院で最期を迎えるようになりました。
今でも全体の8割近い人が病院で最期を迎えています。
入院中は点滴やモニターだけでなく、身体中にさまざまな医療機器が取りつけられ、少しでも長く命を守ることが優先されます。

しかし、終末期においてご本人の意思に関係なく行なわれる入院生活は「人道的であるのか…」「苦痛を与えているだけではないか…」などの意見が徐々に増えてきました。そのような背景から平成18年4月の介護報酬改正では「看取り介護加算」が創設され、看取りの考えが広く知られるようになります。

さらに、平成26年には公益社団法人 全国老人福祉施設協議会(看取り介護方針・説明支援ツール)から次のように看取りの定義が発表されています。

看取りとは、近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること

介護施設での看取り

近年、介護施設での看取りが増加傾向にあります。
「余命わずかと診断されたが延命治療は望まない。しかし、在宅介護はできない。」など、さまざまな事情から介護施設での最期を望まれる方が増えています。

団塊の世代が平均寿命を迎える2040年ごろにかけて療養病床の不足が予想され、補うように高齢者施設は年々増加しています。
と同時に、高齢者施設での看取りケアのニーズが高まることも予想されています。
そのため、多くの介護施設が看取りケアの体制づくりに努めていますが、すべての介護施設が看取りケアを提供できるわけではありません。
詳細については入居を検討されている施設で直接確認し、ご相談することをお勧めします。

ターミナルケア・緩和ケアとの違い

■ターミナルケア
「終末期医療」とも訳されるターミナルケア。
看取りケアと同じように余命わずかと診断され、穏やかな最期を迎えたい人のためのケアですが、看取りケアと違う点は終末期医療(点滴や酸素吸入等)や看護が行われることです。
ターミナルケアは「医療的ケア」が中心となります。
ただし、治療による延命ではなく、苦痛を緩和・軽減することを優先します。
そのため、主に医療機関で行なわれます。

■緩和ケア
緩和ケアはがんなどによる苦痛を緩和し、生活の質を改善することを目的としています。
看取りケアやターミナルケアと大きく違うのは、治療も並行して行われる点にあります。
病気の進行状態に関係なく苦痛を緩和するためのケアで、終末期にのみ行われるものではありません。

また、緩和ケアと同じように苦痛の緩和・軽減を目的とした「ホスピスケア」というものがあります。
末期のがん患者の苦痛を取り除くためのケアで、主にホスピス病棟のある医療機関で行なわれています。

ご本人が望む最期を

病院でターミナルケアなのか… 自宅や介護施設で看取りケアなのか…
どのような最期がご本人やご家族にとって幸せなのか、とても悩まれるのではないでしょうか。
ご本人を取り巻く環境や身体状態はお一人おひとり違うため正解はひとつではありません。
関係機関と遠慮なく相談し、納得いくまで話し合って、後悔しない環境を選択していただけたらと思います。


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