人生の最期をどこで迎えるか?
「離れて一人で暮らししている親を、いずれ引き取るべきか、施設に入所させるべきか?」
「病気で入院中の家族が、退院した後も自宅で生活できるだろうか?」など。
高齢となり、とくに介護が必要になってくると、今の家では生活しにくくなることもあるでしょう。
高齢の親をもつ人にとって、人生で最期に暮らす住まいをどこにするのかは、検討すべき重要なテーマです。
生涯を終えるまで生活するための住居は、「終の棲家(ついのすみか)」と呼ばれています。
近年では「終活」という言葉が流行しているように、自分自身の定年後の趣味や暮らし、家族との連絡手段など、老後についてさまざまなことを考えている方も多いのではないでしょうか。
今は「まだまだ元気だから大丈夫」と思っていても、いつ何が起こるのか分からないのが高齢期。
本人の希望をしっかりと反映させるためにも、身も心も健康なうちから先々の住居を検討するのもよいかもしれません。
終活をするうえで大事なのは、先々のことを今決めるのではなく、まず考えてみるという習慣づくり。
家族と本人の気持ちを見つめることが、自分らしい最期を迎えるヒントにつながるでしょう。
終の棲家を考えるうえでのポイント
自分自身の終の棲家について検討する時、「自宅か?施設か?」の2択で決めようとすると、なかなか考えがまとまらないかもしれません。
「住み慣れたわが家で最期を迎えたい」
「家族に迷惑はかけたくない」
「施設の場合、お金はどのくらいかかるのか?」など、いろいろな思いがあるでしょう。
どこで暮らすのかは、自分らしい最期を迎えるための手段でしかありません。
まずは場所を決めようとするのではなく、本人がどのような最期を望んでいるのかという方針を先に考えみてください。
たとえば「人に干渉されず気ままに暮らしたい」という方針があれば、
「医療や介護が必要になったら、自宅で気ままに暮らせるか?」
「どのような施設が自分に合っているだろうか?」
「他人との共同生活は苦ではないか?」など、想像を広げて考えていくことができます。
終の棲家に関するイメージが固まってきたら、以下のような具体的なチェックポイントについても検討してみましょう。
終末期の介護 | ・介護や家事全般など、身の回りのことを手伝ってもらえる人はいるか? ・介護保険サービスに加えて、家族の援助はどのくらい受けられそうか? ・自宅で過ごす場合、バリアフリー化のリフォームは必要か? ・単身生活をするなら、定期的に見守りを行なってくれる人が必要か? ・認知症に対応の施設か? |
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終末期の医療 | ・何でも相談できるホームドクターはいるか? ・入所しようとしている施設は、持病の医療ケアに対応しているか? ・定期健診や緊急時の対応が整った施設か? ・いよいよの時、どこまで医療を受け入れて命をつなぐか? |
とくに最期の場面での医療的な選択は、家族に重くのしかかります。
最先端の治療を受けながら長生きしたいか?もしくは、緩和ケアを続けて穏やかな最期を望むか?
など、希望を伝えておくことが大切です。
看取りまで行なってくれる施設はある?
高齢者施設で看取りを行なえるかどうかは、医療との連携体制やご本人の身体状態によって異なります。
私たちメディカル・ケア・プランニンググループでは、医師の診断により治療しても回復しない状態において、ご家族とご本人の希望があった場合にのみ、一部施設で「看取り」を行なっています。
当然ながら、高齢者施設は病院ではないため、看取りケアは緊張の連続です。
職種ごとに設けた看取りマニュアルに沿って、ご本人・ご家族・医療施設と連携した面談を強化。
施設側・医療機関側の看取りに関する同意書や、延命治療の事前確認書などを用いて、管理体制を徹底しています。
看取りケアはスタッフにも大きなストレスがかかるため、一人ひとりのメンタルケアにも配慮しながら行なっています。