在宅介護でも、意外と出費は多い？
一般的に「在宅介護なら、施設に入所するよりも予算は少なく済むはず」というイメージがあるかもしれません。しかし、在宅介護でも金銭的な負担はあります。
在宅介護の支出には、大きく分けて、訪問介護や通所介護（デイサービス）などの介護サービスの費用と、医療費やおむつ代などの介護サービス以外にかかる費用の2種類があります。
「在宅介護のお金と負担2016年調査結果（公益財団法人 家計経済研究所）」によると、1か月あたりの介護サービスにかかる自己負担額の平均は1万6000円、介護サービス以外の平均費用は3万4000円となっています。
両者をあわせると、在宅介護にかかる1か月の平均費用は5万円と算出できます。ただし、ここには食費や光熱費といった生活費は含まれておらず、また要介護度や認知症の有無によって必要な費用は大きく変動します。
| 要介護度別 | 介護費用の平均 |
|---|---|
| 要介護度1 | 3万3000円／月 |
| 要介護度2 | 4万4000円／月 |
| 要介護度3 | 5万9000円／月 |
| 要介護度4 | 5万9000円／月 |
| 要介護度5 | 7万5000円／月 |
上の表から、要介護度が高くなるほど、必要な費用も高くなることがわかります。介護度が上がると自立して行なえることが少なくなり、介護サービスを利用しなければならない機会が増えるためです。
また、一般的に介護にかかる期間は5〜10年といわれています。あくまで平均ですが、5年間、月々5万円を払い続けると考えると、在宅介護にかかる費用は5年で総額300万円以上というのが一つの目安になるかもしれません。
施設介護で必要な費用とは？
続いて施設介護の費用について見ていきましょう。介護施設に入所するには、主に前払い金として必要な「入居一時金」、毎月の生活にかかる「月額費用」（家賃・管理運営費・水道光熱費など）、介護にかかる費用の「介護保険の自己負担分」の3種類がかかります。また、その施設が公共か民間か、どのような種類の施設かによって、かかる費用は異なります。相場は以下のとおりです。
公共型施設の相場
| 公共型施設種別 | 月額費用 | 入居一時金 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム（特養） | 6〜15万円 | 0円 |
| 介護老人保健施設（老健） | 9〜20万円 | 0円 |
| 軽費老人ホーム（ケアハウス） | 7〜30万 | 0〜数百万円 |
民間型施設の相場
| 民間型施設種別 | 月額費用 | 入居一時金 |
| 介護付き有料老人ホーム | 10～35万円 | 0〜数千万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 10～35万円 | 0〜数千万円 |
| グループホーム | 15〜30万円 | 0〜数百万円 |
| サービス付き高齢者住宅（サ高住） | 10〜30万円 | 数十万円 |
とくに民間の施設の場合は、施設によって月額費用や入居一時金が大きく異なります。もちろん公共の施設の方が費用は抑えられるものの、特別養護老人ホーム（多床室）など順番待ちとなりすぐに入所できないケースもあります。予算とも相談しながら、タイミングやニーズに適した施設を検討していきましょう。
在宅介護、施設介護の費用を比較
このように在宅介護・施設介護のいずれの場合においても、要介護度や状況、入所する施設によって介護にかかる費用は異なるといえます。また、ご本人の所得により介護サービスの自己負担額が異なるなど、介護にかかる費用は一概には比較しづらい部分があるといえるでしょう。
ただし、あくまで目安で比べると、月々にかかる費用は以下のようになります。
月々の自己負担額の目安（要介護3の場合）
| 費用 | 在宅介護 | 施設介護
（特養） |
施設介護
（有料老人ホーム） |
|---|---|---|---|
| 居住費 | - | 5万9,100円 | 10万5,000円 |
| 介護サービス費 | 2万6,931円 | 2万2,432円 | 2万342円 |
| 医療費 | 6,000円 | 6,000円 | 6,000円 |
| 食費（30日） | 4万円 | 4万2,000円 | 4万5,000円 |
| 日常生活費
（クリーニング等） |
- | 1万円 | 1万円 |
| その他
（娯楽費・交通費等） |
1万5000円 | 1万円 | 1万円 |
| 税・社会保険費 | 1万円 | 1万円 | 1万円 |
| 合計 | 10万8,141円 | 15万9,532円 | 20万6,432円 |
予算の面からいえば、在宅介護の方が施設での介護よりも費用は安く収まりますが、それが要介護者にとって最善の判断とは限りません。ご本人やご家族などの希望を尊重しながら、予算、ライフスタイルなども総合的に考えたうえで、ベストな介護方法を比較・検討していきましょう。
在宅介護と施設介護。メリットなど気になりますよね。
全ての比較はできませんが、迷っている方にとって少しでもご負担を軽くできるようにまとめました。
